はじめてのミシン
ミシンの種類
1.家庭用ミシン
一般的にご家庭で使われているミシン。
電動ミシン・・・針の上下の動きを内蔵モーターで行うミシン
電子制御ミシン・・・電子回路により、スピードコントロールが無段階に制御できるミシン。
電子ミシン・・・電子回路により、自分のペースに合わせたスピード調整や針の上下停止位置をワンタッチでコントロールできるミシン。
コンピュータミシン・・・マイクロコンピュータを内蔵し、針の動きや縫い目の長さを調整するミシンで、複雑な縫い目が簡単にできる。
刺しゅうミシン・・・コンピュータを内蔵し、複雑な模様・大型の文字、刺しゅう縫いができる。
トイミシン・・・元々お子様用のミシン、樹脂製の部品を多用して小型軽量だが、パワー不足な面がある。
2.ロックミシン
布地を裁断しながら、きれいにかがれる専門的なミシン。
3.職業用ミシン
洋裁学校の生徒さんやヘビーユーザーに多く使われているミシン。
4.工業用ミシン
縫製工場で主に使われている回転数の速い産業用のミシン。
5.電動ミシン・電子ミシン・コンピュータミシンの違いは?
↑ 左:電動ミシン 中央:電子ミシン 右:コンピュータミシン
■電動ミシン
針の上下の動きを内蔵モーターによって行い、モーターの速度は電圧によって変化させます。
フットコントローラー(足踏み機)で操作するミシンが多いです。
特徴:構造が簡単な、昔ながらのミシン。
■電子ミシン
コンピュータミシンがボタン1つで操作できるのに対し、電子ミシンでは糸調子や縫い目の調節、模様選択などの設定を、それぞれダイヤルを手で回して行います。針の上下運動は電子回路で制御されています。
特徴:ダイヤルなどを回して縫い目模様の切りかえをする。
針の停止位置が一定。(上で止まるものが多い)
■コンピュータミシン
コンピュータを内蔵していて、針の上下運動をはじめ糸調子や縫い目の調整などすべてをコンピュータ制御で行い、ボタンを押すだけでさまざまな操作ができます。文字や複雑な模様などの刺しゅうができるのもコンピュータミシンならではの機能です。
特徴:ボタンを押すだけで文字、複雑な模様、刺しゅう縫いなどができる。
便利な機能を自動的に行える。(自動糸調子、自動ボタン穴かがり、自動止め縫い、など)
カマの種類
1.半回転カマ
ボビンケースとボビンが必要。縫い目の糸のしまりが強い。
2.水平全回転カマ
ボビンのみで良い。下糸のセットが簡単。下糸の調整をする必要がない。
3.工業用全回転カマ
ボビンケースとボビンが必要。高速縫いに適している。下糸調整ができる。
1分あたり5000針縫えるミシンもある。
4.水平釜(すいへいがま)と縦釜(たてがま)の違いは?
↑ 左:水平釜(すいへいがま) 右:縦釜(たてがま)
■水平釜
ボビンのみでよいので下糸のセットが簡単です。下糸の調整はせずに上糸で糸の調整をするのが主です。糸のからみが少なく、また、ふたが透明なので下糸の残量が見えます。
■縦釜
ボビンとボビンケースが必要で、ボビンケースにボビンを入れて使用します。縫い目の糸のしまりが強く、ボビンケースによる下糸調子が調整できます。
最近の家庭用ミシンでは水平釜が主流になってきていますが、「昔から縦釜を使っているので慣れている」「下糸の調整ができる」、などの理由で、買い替えをするときも
縦釜を選ばれる方はまだまだいらっしゃいます。
上糸と下糸の引っ張り合う強さを調節することを「糸調子」と言います。機種にもよりますが、最近の家庭用水平釜ミシンでは上糸調子でバランスをとるのが一般的になっています。
↑ 左:上糸と下糸のバランスが良い状態。
中央:表面の上糸が一直線のようになっている状態・・・上糸が強すぎます。
右:裏面の糸が一直線のようになっている状態・・・上糸が弱すぎます。
上糸調子は主にダイヤルで調節するのですが、機種によってメモリの表示は様々です。
数字で表示されている場合は数字を小さくするにつれて上糸は弱くなり、数字を大きくするにつれて上糸が強くなるのが一般的です。
ミシンによっては「つよい」「よわい」で表示されているものなどもあります。
*試しに実際に縫ってみましょう*
↑ 上糸を黄色、下糸を赤にして縫ってみます。
1・・・上糸が強く、生地の表面まで下糸を引き上げてしまっています。(上糸が一直線状態で抜けやすいです)
2・・・上糸が弱く、生地の裏面まで下糸に引っ張られています。(下糸が一直線状態でぬけやすいです)
3・・・1の裏面
4・・・2の裏面
表から見ても裏から見ても縫い目が一定の正しい糸調子を保って縫うと、仕上がりもきれいで丈夫なものが出来上がります☆
ボビンの種類
ボビンは英語でBobbin、フランス語でBobineで糸巻きの意味
■HAボビン ■一般ボビン ■工業用ボビン ■ブラザー薄型ボビン ■シンガーボビ
■トヨタボビン ■ベルニナ・ハスクバーナも専用ボビンがあります。
糸について
↑ 左:30番(太い) 中:60番(普通) 右:90番(細い)
ミシン糸にも30番手、60番手、90番手という太さを表す「番手」という単位があります。
その数字が小さくなると糸は太くなっていき、数字が大きくなると細くなっていきます。
糸には絹糸(きぬいと)や綿糸(めんし)のような天然繊維と、石油などから作られたポリエステルやナイロンなどの合成繊維のものがあります。
縫うものによっても選ぶ糸は変わりますが、最近のミシンに適しているのは主にポリエステル素材の60番の糸です。
※家庭用水平釜ミシンであまりにも太い糸を使うと、ミシンに不具合が生じる原因になることもあります。
【糸の選び方】
布の色が濃い場合は、布よりやや濃いめの色の糸を、また、
布の色がうすい場合は、布よりやや明るめの色の糸にするとよい、と一般的に言われています。
糸は→こちらからご購入いただけます☆☆☆
針について
↑ 主な家庭用針 細い≪ 青・・・9番 黄・・・11番 赤・・・14番 緑・・・16番 ≫太い
ミシン針には、11番手、14番手など、太さを表す「番手」という単位があります。
サイズが1番手大きくなるたびに0.05mm太くなります。(18番手以上はあてはまりません)
ただし、番数(太さ)に関係なく、針柄(取っ手の部分)の直径と針柄のはしから針穴の上までの長さは同じです。
最近では、ミシン針の柄の部分に番数別に色がつけられています。
(9番手→青、11番手→黄色、など上の写真参照)
また、家庭用針の柄の部分は片面が平らになっているのが特徴です。
↑ 工業用ミシン針一例
工業用ミシン針の柄の部分は丸くなっています。
種類も様々なものがありますので、用途によって針を交換するととても縫いやすくなります。
針については→こちらに詳しく載っています☆ご購入いただけますのでごらんください!
ミシン針の種類
ミシン針の形状および寸法記号と名称
三重縫い
三重縫いとは伸縮性のある強い縫い目で、補強縫いに便利です。
ミシンは前に進むよりも後ろにさがる方が苦手です。
また、5cmぐらいを後ろにさがろうとすると縫いずれてしまうこともあります。
三重縫いは針ひと目ひと目が前と後ろに行ったりきたりして三重に縫ってくれるので、縫いずれを極力防いでくれます。
また三重に縫うことにより補強になるので、力のかかるところにはこちらを使うことをお勧めします。
↑ お子さんのバッグの持ち手などは補強しておきたいところです!
三重縫いが入っていないミシンもありますが、あったらぜひ使ってみてください!
裁ち目かがり縫い
裁ち目かがり縫いとはジグザグと直線が合わさった縫い目のことで、布端のほつれを防ぐためかがるときに使います。
ジグザグだけでもほつれ防止になりますが、裁ち目かがり縫いを使うと直線が入っている分、より防ぐことができます。
下の写真はそれを利用した一例、入園・入学バッグです。
裁ち目かがり縫いをするときはたいてい専用の押えが付属品で入っていますので、そちらを使うと縫いずれがなく、とてもきれいに仕上がりますのでお勧めです。
ジグザグ縫い
ジグザグは主に端かがりに使います。
一般的には上の写真ぐらいの幅・長さのジグザグになっています。
ミシンによってはジグザグ縫いが数種類あり、幅や長さを変えられるミシンもあります。
用途はやはり端かがり、そして模様縫いにもなります。
写真のように長さを変えてつまったジグザグにしたり、段染め(段カラー)の糸などを使うとより模様らしくなったりします。
また幅・長さを変えてかんぬき止めとしても利用できます。
「ジグザグなんて使わない」という声を聞いたりもしますが、工夫次第で様々なことができますのでぜひ使ってみてください☆
ロックカッターを使わない、普通のミシンでの「かがり縫い」
普通の家庭用ミシンで端をかがりたい、というときには主にジグザグを使います。
基本押えを使って縫うことになるので、ゆっくり進めると縫いずれ防止にもなります。
ジグザグだけでも端かがりになるのですが、「裁ち目かがり縫い」という縫い模様があるミシンでは、こちらを使うことをお勧めします。
(写真真ん中)
裁ち目かがり縫いとは、ジグザグと直線が合わさった縫い目です。
直線が入る分、よりほつれ防止になります。
また、裁ち目かがり縫いをするときはたいてい専用の押えが付属品で入っていますので、そちらを使うと縫いずれがなく、とてもきれいに仕上がりますのでお勧めです。
というわけで、普通の家庭用ミシンでの端かがりの方法は、裁ち目かがり、ジグザグ縫いを用いると良いと思います。
※参考として、ロックミシン、又ロックカッターで端をかがった縫い見本も載せておきました。
ロックカッター(サイドカッター)の種類
当店で扱っているロックカッター(サイドカッター)は6種類あります。
ロックカッターとサイドカッターはメーカーによって呼び名が異なるというだけであり同一のものを言います。
左の2つがジャノメミシン用、真ん中がブラザーミシン用、右が一般ミシン用となっており、仕上がりはどれも一緒です。
詳しくは→こちらをごらんください!
ミシンの歴史
手縫いから学ぶ
針の起源は、紀元前4000年代にエジプトで作られたものが始まりと言われていて、
当時は動物の骨を削って作られていた。
16世紀頃から、手縫いをお手本として、縫う機械の研究が盛んにされるようになった。
ミシンの語源
ミシンは英語で「縫う機械」を意味する「ソーイングマシーン」のマシーンがなまったものと言われている。
ミシンの発明
諸説あるが、一番有力とされるのが1790年にイギリスの「トーマスセント」が発明し、特許を取ったと言われている。
その後、1853年に米国のアイザック・メリット・シンガーにより本格的実用ミシンが発明される。
日本のミシンの歴史
日本でのミシンの歴史をたどると1854年にペリーが2度目の来航をしたとき、
幕府への献上品の中にミシンがあったという記録がある。
1881年(明治14年)東京で開かれた第2回内国勧業博覧会に国産ミシン第1号が展示された。
1924年(大正13年)国産の本縫いミシン(パイン)の製造が開始される。
第2次世界大戦が始まると、ミシンを作るための鉄が不足し、家庭用ミシンの製造は中止される。
戦時中、ミシンの生産は軍服などを作る軍事用ミシンが中心だった。
一頃は結婚するときに用意する「嫁入り道具」の1つだったが・・ 衣類が豊富に出回ることと、
生活様式の変化により、家庭で使うミシンは「趣味を楽しむためのもの」に変わってきた。
ミシンの普及率
日本の家庭でのミシンの普及率は約67%。
(総務省統計局 平成16年調査より)